生来無骨で不器用な刑事、風間亮(赤井英和)と、高校時代に傷害事件を起こして家出した弟の隼(小笠原大史)。実家を離れてそれぞれの道を歩んでいた2人は、父・辰夫(篠田薫)の葬儀で10数年振りに再会する。だが、母の芳江(深谷みさお)から浴びせられる罵声に耐えきれず、隼はその場を逃げ出す。亮は幼なじみの佐伯小夜(近藤あい子)とともにそれを見送るしかなかった。時は過ぎ、再び巡り会う兄弟。だがそれは、兄弟としてではなく、追う者と追われる者という関係だった。帰る場所なく、社会からも見放され、身も心もボロボロの隼に手を差し伸べたのは、犯罪組織のリーダー西成(神谷有樹彦)だった。そこに自分の居場所を見付け、やがて隼は犯罪に手を染めていったのだった。だがその一方で、すがるように行き付けのバーに足を運ぶ隼。バーテンダーの徳川(桑名正博)が父親のように迎えてくれるそこは、隼にとって居心地の良い場所だった。しかし、警察は次第に犯罪組織を追い詰めてゆく。その中で、隼には病魔が忍び寄っていた。必死に隼の足取りを追う亮はバーを訪れるが、そこに弟の姿はなかった。隼のことを徳川に語る亮。その頃、社会から見放され、泥沼のような世界に身を置いてしまった我が身を省みた隼は、人生最後の選択をする。それは兄、亮の手に全てを委ねる事だった……。