朝、いつものように目覚まし時計のベルの音とともに起きたタチバナ家の母(声:渡辺久美子)は、いつもより家事をテキパキとこなす。毎回真っ黒コゲの目玉焼きはちょうどいい半熟に、醤油差しに醤油を入れれば差し口ギリギリでストップ、買い物の支払いは小銭がちょうどぴったり……しかし、調子がいいとウキウキしていた母を、雷が直撃。すると母は、超能力を身につけてしまう。夜、父(緒方賢一)、みかん(折笠富美子)、ユズヒコ(阪口大助)の前で自慢げにスプーン曲げを披露した母は、家族が驚くのにますます気をよくし、翌日から超能力で家事をこなすようになる。最初のうちはその様子に家族も驚いていたが、しばらくすると慣れて、相手にされなくなる。そこで母は人の役に立とうと、家族にないしょで正義のヒーロー“エスパーママン”に変身する。お昼代の500円玉を落としてしまった女子高生や、自転車置き場の自転車を倒してしまった女性、道に迷ってライブに遅れそうなロック歌手、木から降りられなくなった猫など、困っている人のところに颯爽と現れては助けていった。しかしそのため家事がおろそかになり、家族の不満が爆発する。母の行動は余計なことと自分が楽することだけだとみかんに責められた母は、怒りと悲しみから無意識のうちにみかんを吹き飛ばしてしまう。しかし被害はそれだけではなかった。家族に亀裂が入ると同時に、マンションにも無数の亀裂が入っていた。あまりの展開に母、みかん、ユズヒコは放心状態になるが、父の声で正気を取り戻す。しかしそのとき、マンション全体が傾いてくる。