1967年8月に茨城県で発生した強盗殺人事件、いわゆる「布川事件」の犯人として逮捕された二人の男性、桜井ショージと杉山タカオ。映画はショージとタカオが仮釈放で刑務所から出て来るところから始まる。ショージとタカオは20歳のときから29年間獄中にいた。「犯人じゃない!」獄中から、そして社会に戻って来てからも2人は無罪を訴え、裁判のやり直しを求め続ける。2人を偶然知ったディレクターの井手洋子は、自分のビデオカメラでその日常を記録し始める。券売機で電車の切符を買えないタカオ。廃屋同然になった我が家に呆然とするショージ。30年近く社会と隔絶していた2人にとって、時代の変化は大きかった…。ショージは背が低く、タカオは身長180センチの大男。ショージはおしゃべりがうまく、タカオは話ベタ。ショージは服装にこだわりがなく、タカオはお洒落さん。何かにつけて対照的な2人は同時にライバルであった。仕事を見つけたい、彼女が欲しい…普通のおじさんになるために2人はハードルを乗り越えていく。そして2010年夏再審公判が始まる。桜井ショージ63歳、職業:建設作業員。杉山タカオ64歳、職業:造園業。仮釈放された1996年秋から再審公判が始まった2010年夏までの14年間を2人のサイドから見つめた記録映画。