28歳の松木美江(内山理名)は、在日朝鮮人の母・明子(黒田福美)と今は亡き日本人の父のもとで育てられ、自らの体に流れる朝鮮大陸の血を意識しながら毎日を過ごしている。そんなある日、美江が勤める会社に、課長として韓国人の柳正培(キム・ウンス)がやってくる。美江と柳は、理由もわからないまま、互いに魅かれあっていくが、美江は柳の過去を知るにつれ、自分たち二人を結びつけた運命の残酷さに気付き始めるのであった……。1980年、民主化を求める学生、市民たちと軍部が衝突した光州民主化運動。かつて柳は、その最前線に学生運動グループのリーダーとして立っていた。そして彼の傍らに寄り添うのは、当時韓国に留学していた若き日の明子……。母と同じ人を愛してしまったという事実に気付きながらも、美江は柳を愛することを止められない。一方、柳は政治の季節が終わり、利潤追求ゲームの勝者となりながらも、その虚しさを埋めることができないでいた。決して遡ることのできない時の流れの中で、もつれ合う二人の切ない恋の行く末は……。