1973年3月、カナダの刑務所を脱獄し、フランスに舞い戻ったメスリーヌ(ヴァンサン・カッセル)は、旧友ミシェル・アルドワン(サミュエル・ル・ビアン)と銀行強盗を重ね、逮捕される。だが、奇抜な手で脱獄を成功させたメスリーヌは、フランスでも“社会の敵No.1”と呼ばれるようになる。その反面、父親の重病を知ると、入院先に忍び込み、“何があろうとお前は私の息子だ”という言葉に泣き崩れる一面も持っていた。9月、パリで新しい仲間と銀行を襲うが、新入りが待機中に捕まり、やっとのことで逃走。アルドワンは、どこまでも仲間を信用するメスリーヌに愛想を尽かして去っていく。ある日、メスリーヌの隠れ家を、パリ警視庁のブルサール警視(オリヴィエ・グルメ)のチームが急襲する。ドア越しに初めて対峙するギャングと刑事。だが、女を見逃し、図らずも証拠書類を焼却する猶予を与えたブルサールを、メスリーヌはシャンパンで歓迎するのだった。サンテ刑務所の中で、犯罪歴を赤裸々に綴った自伝を1977年に地下出版。彼に下された判決は懲役20年だったが、脱獄王フランソワ・ベス(マチュー・アルマリック)とともに1978年3月、フランスで最も警戒厳重な刑務所からの脱獄を成功させてしまう。再び街に戻ったメスリーヌを待っていたのは、シルヴィア(リュディヴィーヌ・サニエ)との運命的な出会い。その一方で、派手好きなメスリーヌに対し、慎重に姿を隠そうとするベスは去っていく。1979年6月、メスリーヌと仲間は億万長者ルリエーヴルを誘拐。手に入れた身代金で、最新モデルの車を乗り回し、シルヴィアのために豪華な宝石を手に入れる。だが、得意満面なメスリーヌをゴロツキ呼ばわりしたジャーナリスト、ジャック・ダリエが瀕死の状態で発見されると、マスコミは彼を一斉に非難。メスリーヌ自身も終わりが近いこと察し、シルヴィアに宛てた遺言を録音するのだった……。