東京の風景のなか。掛け軸を背に、美しい若奥様・小雪が座している。突然、小雪の襦袢の裾は乱され、胸元からは小さな顔に不釣合いな豊満な胸のふくらみの先端までも見えそうだ。そんな姿は彼女の本意ではないらしい。それでも小雪は静かに受け入れ続ける……。車が走り去る高架下に置き去りにされためぐ。ミラーボールの発する光に彩られたきわどい姿の麗。古めかしい下町では、愛が汗を滴らせている。公園で遊ぶキュートなキララの様子、智子の背徳的な妄想、新妻の空の健気な姿、工場地帯でひとり佇む凛、黒い下着を身にまとっただけの葵……。ドールたちは寂しくても泣きわめかない。遅く帰っても罵倒したりしない。縄がくいこむほどに縛られ、放り出されてもただ静かに待っている。どれほど時が経とうとも、その美しさが変わっていく心配は杞憂だ。東京の風景のどこかで、9体の永遠の美が誰かを待っている……。