コネチカットの大学教授ウォルター・ヴェイル(リチャード・ジェンキンス)は62歳。最愛の妻を亡くしてから、心を閉ざして孤独に、日々無気力に生きていた。ある時、学会出席のためニューヨークを訪れるウォルター。滞在のため、留守にしていた別宅のアパートへ向かうが、玄関を開けると、そこには見ず知らずのカップルがいた。ここに引っ越してきたばかりというシリア出身の移民青年タレク(ハーズ・スレイマン)とセネガル出身の恋人ゼイナブ(ダナイ・グリラ)は詐欺にあったのだ。彼らは警察だけは呼ばないでくれと頼み込み、素直に荷物をまとめて出て行く。2人とも永住許可証を持たないため、警察沙汰になって国外追放されることを恐れていた。だが、その日の宿もない彼らを見かねたウォルターは、当面、部屋を貸すことを申し出る。タレクはその親切に感激し、自分の持っていたアフリカの太鼓=ジャンベをウォルターに教える。ジャンベを通じて友情を深めていくウォルターとタレク。ある日、タレクはウォルターを誘ってセントラルパークへジャンベの演奏に出掛ける。最初こそ躊躇いを見せたウォルターだったが、大勢の仲間に囲まれて演奏するうちに、久しく忘れていた高揚感が蘇ってくる。その表情には生きることに対する喜びが溢れていた。しかし帰り道、地下鉄の駅で思いがけない事件が起こる。タレクが無賃乗車の容疑で逮捕されてしまったのだ。ただの誤解にもかかわらず、警察はタレクをテロリストのように扱い、連行してしまう。入国管理局の拘置所へ移送されたタレクを救うため、弁護士を雇い、収容施設へ毎日面会に訪れるウォルター。数日後、ウォルターのもとを1人の美しい女性が訪ねてくる。それは、タレクの母モーナ(ヒアム・アッバス)だった。