会社の同僚・スミちゃん(松村寿美子)と共に大阪から上京したユキ(砂原由起子)は、秋葉原の駅に降り立つ。スミちゃんと駅で別れたユキは駅前の大きなビルの前で、蒸発した兄・ヒサシ(鯖吉)の大学時代の先輩・山口(山崎隆明)と落ち合った。今は広告代理店で働いているという山口にユキは、全く消息がわからなかったヒサシから最近手紙が届き、そこに住所が書いてあったことを話す。山口はノートパソコンを開き、ヒサシ宛に手紙を書き始め、これからヒサシに会いに行くというユキにプリントした手紙を渡すのだった。忙しそうにビルへ戻っていく山口を見送ったユキは、ヒサシの手紙の住所をたどってバスに乗る。窓から東京の街並みを見ながらたどり着いたのは、吾妻橋のたもとであった。隅田川に沿って点々とダンボールの家がある。その片隅のひとつからゴソゴソと人が出てくると、それはユキの兄・ヒサシだった。とつとつと話し始める兄妹。そして二人は、浅草で暮らしているというヒサシの元妻・トモ子(三枝桃子)に会いに行くことにする。その日は、トモ子の誕生日だったのだ……。