1963年、チェコスロヴァキアのプラハ。監獄から出所した小柄な老人ヤン・ジーチェ(オルドジフ・カイゼル)はズデーテン地方の廃村へ行く。山中で少女マルツェラと、音楽の樹を探している教授に出会い、給仕人として働いた過去を語る。30年頃のボヘミア地方の田舎町。駅でソーセージを売っていた青年ヤン(イヴァン・バルネフ)は発車間際、老紳士に釣り銭を渡しそびれる。ヤンは“黄金のプラハ・ホテル”の給仕となり、釣り銭を渡しそびれた老紳士ヴァルデン(マリアン・ラブダ)を見つける。しかし、一目惚れした娼婦が店で事件を起こし、ヤンはクビになる。ヤンはヴァルデンの紹介で、高級娼館“チホタ荘”のウェイターになる。しかし客が気まぐれでヤンに大金をチップとして渡したため、チホタ荘を辞めるハメになる。ヤンは“ホテル・パリ”の給仕となり、給仕長スクシーヴァネク(マルチン・フバ)の指導で給仕の腕を上げていく。38年、ヒトラーはズデーテンを占領する。街ではチェコの若者がドイツ人と衝突していた。ヤンは自分同様小柄なドイツ女性リーザ(ユリア・イェンチ)を救う。ヴァルデンはヤンに、財産で切手を買うよう忠告する。ある日、ホテル・パリを訪れたリーザが全員から拒まれるが、ヤンは給仕しようとしたため、解雇される。ついにチェコがドイツの保護領となり、ヤンはリーザと結婚する。一方、スクシーヴァネクは秘密警察に逮捕される。ヤンは、ナチの施設となったチホタ荘で働き始め、リーザは看護兵として出征する。ヤンは、ユダヤ人の移送列車の中にヴァルデンを見つける。リーザは、ユダヤ人の家から集めた切手を持ち帰還するが、爆撃で死んでしまう。終戦後、ヤンはリーザの切手で百万長者となり、チホタ荘を買って“ホテル・ジーチェ”を興す。48年、共産党独裁政権が発足し、ヤンは資本家として逮捕される。ズデーテン山中。老ヤンが廃屋を改装したビアホールに、ヴァルテンが訪れる。ヤンはビールを給仕し、あの日の釣り銭を返す。