大阪。中学校教師の寺田悟(八嶋智人)は、仏具屋を営む実家で父・倫太郎(渋谷天外)と母・雅江(山田スミ子)と暮らしている。見合い話には目もくれず、今夜も北新地のクラブへ出かけていった彼は、店のホステス・川尻一代(佐藤江梨子)に思いを寄せているのだ。一代の方も、酒も飲めないのに足しげく通っている寺田にまんざらでもない様子だった。ある晩、寺田は重大な決意を胸に秘め、店を終えて帰る一代を待ち伏せる。帰り際、客の男に執拗に迫られている一代を助けることすらできず、彼女に責められる寺田だったが、意を決して一代にプロポーズ。一代は寺田の申し出を受け入れる。無理やり見合いをさせられたことで家を飛び出した寺田と、孤独を恐れ幸せを夢見る一代の新婚生活が始まった。しかし、日を追うごとに見えてくる一代の過去の男性遍歴に、寺田の嫉妬は次第にエスカレートしていくのだった。そんなある日、一代は乳房が痛いと言って病院へ行く。彼女の留守中、寺田は一代に届いた葉書を何気なく見てしまう。それは、見知らぬ男からの逢引の誘いをにおわせる文面だった。その葉書に記された場所の園田競馬場へ一人で向かった寺田は、レース中に「1-4、カズヨ、来い」と叫ぶ“インケツの松”(佐藤浩市)に出会い、彼を尾行する。しかし、尾行していることがばれ、松と話をするとどうやら一代とは無関係だとわかる。ほっと胸を撫で下ろした寺田が家に帰ると、一代が乳がんになったと告白。一代は、寺田のために乳房を切らずに治すことを決意する。寺田はなんとか一代の病気を治そうと、怪しい加持祈祷にまで頼りだし、さらには120万円の壷を手に入れようとするがもうすでに金が底をついていた。そんな中、寺田は生徒から徴収した修学旅行費を手に園田競馬場へと向かう……。