あるオペラ演奏会の最中、結婚式を翌日に控えた歌姫マルヴィーナ(アミラ・カサール)が、恋人アドルフォ(セザール・サラシュ)の目の前で狂信的な科学者ドロス(ゴッドフリード・ジョン)によって魂を抜かれ、誘拐される。マルヴィーナは、孤島に建つドロスの邸宅に軟禁の身となった。そんな中、ピアノ調教師のフェリスベルト(セザール・サラシュ)は、ドロスから音楽を奏でる機械演奏人形の調律を依頼される。ヴィラ・アスセナと名付けられた博士の邸宅に着くと、フェリスベルトは家政婦のアサンプタ(アサンプタ・セルナ)から18世紀のリスボン大地震を描いたフレスコ画を見せられる。そこには既にドロス、アサンプタ、フェリスベルトが描かれていた。絵の中で“地震を調律する男”として描かれたフェリスベルトは、以前この島に来たことのあるような不思議な感覚を覚えるのだった。フェリスベルトを誘惑するアサンプタ、ドロスが操る6人の庭師…ヴィラ・アスセナにはいくつもの謎が満ちているが、フェリスベルトは見たこともない7つの奇妙な演奏人形の調律に熱中し始める。そんなある日、フェリスベルトは島の海辺にたたずむマルヴィーナに出会う。フェリスベルトは彼女に心惹かれるが、マルヴィーナはアドルフォという男の名を繰り返すばかりであった。心を病んだ彼女をこの島で治療しているというドロスの言葉に疑いを持ったフェリスベルトは、なんとかマルヴィーナを救い出そうと思い始める。一方、マルヴィーナの歌声の虜となったドロスは、自分の音楽を受け入れなかった者たちへの復讐のため、彼女の歌声を利用して破壊的なオペラ演奏会を企てていた。そして月食の夜、遂に演奏会の幕が上がった……。