イギリスの片田舎。年老いたジム(声:森繁久彌)とヒルダ(声:加藤治子)の夫婦は、子どもも独立し、ゆったりとした年金生活を送っている。ラジオから流れるニュースに耳を傾け、新聞記事をネタに取るに足らない会話を夫婦で語る毎日であった。そんなある日、核戦争が近づいていることを知ったジムは、政府発行のパンフレットに従い、家のドアを取り外して室内に簡単な核シェルターを組み立てる。窓に白ペンキを塗ったり、昔の戦争のことを思い出してグチを言い合あいながらふたりは準備を進めていった。そして、ラジオが敵国の攻撃を伝えた数分後、すさまじい熱風が吹き荒れる。家の中は瓦礫と化すがふたりはシェルターの中で生きていた。パンフレットの教え通り、初めはシェルター内にいたふたりだが、室内なら大丈夫だろうと家の瓦礫を片付け始める。ラジオもテレビも壊れた世界で、ジムとヒルダはきっと助けが来ると信じて、ひっそりと生活を再開する。ところが、いつまでたっても助けは来なかった。食料も尽きかけた頃、ふたりの体にめまいやダルさ、紫の斑点といった症状が現れる。日を追うごとに衰弱していく夫婦は、シェルターの中で抱き合うようにして救援隊が来ることを信じて待つのであった……。