2005年夏、“小泉劇場”まっただなか。東京で切手コイン商を営む「山さん」こと山内和彦が、自民党から突然「川崎市議会選挙の候補者公募に応募しないか」との誘いを受けた。小泉首相の大ファンだった山さんは、その場で決断を迫られ「じゃあ応募します」と即決断。選考過程を無事通過した山さんは、自民党の公認候補として市議会に立候補することになった。しかし、山さんは政治家秘書の経験もない、いわば政治の素人。しかも、選挙区はほとんど縁もゆかりもない川崎市宮前区。地盤どころか後援会すらない。そして多額の選挙費用はほとんど自腹。負ければ借金だけが残る大博打なのである。一方、自民党にとっては市議会与党の座を守り抜けるか否かの大事な選挙。地元選出の自民党議員や秘書たちによる激烈な戦闘態勢が組まれ、世にも過酷な“どぶ板選挙”がはじまった。山さんは、少しでも選挙民に自分の顔を売ろうと、神社のお祭り、保育園の運動会、老人会、そして駅やバス停にまで出かけていき、片っ端から握手を求める“電柱にもおじぎ作戦”に出る。地方の市議会選であるにもかかわらず、自民党大物議員である石原伸晃、川口順子、橋本聖子、荻原健司、はては小泉首相までもが応援に駆け付け騒然となる。民主党などから公認されたベテランのライバルたちに、山さんはどこまで対抗することができるのか?