「父さんは、今日で父さんを辞めようと思う」。始業式の朝、家族の食卓で、突然「父さん」(羽場裕一)が口にした意外な一言。佐和子(北乃きい)の中学校生活最後の1年は、こうして始まります。中原家は、教師の「父さん」、専業主婦の「母さん」(石田ゆり子)、兄の「直ちゃん」(平岡祐太)、佐和子の4人家族。これといって深刻な問題はないけれど、お互いが何か“言いたいこと”を抱えたときは、必ず四人が顔を揃える毎朝の食卓の場で伝え合う……そんなささやかなルールを大切にしてきた家族でした。だが3年前のある日、突然訪れた「父さん」の心の崩壊。その日から、佐和子の家族の歯車が少しずつ狂い始めた。成績はいつも学校で一番だった「直ちゃん」は大学進学を辞めて農業をやり、「母さん」は家を出て一人暮らしを始める。それでも「父さん」と「母さん」は日々連絡を取り合っているし、毎朝の食卓は健在。そんな危ういながらも淡々と続く家族の日常に、新たな波紋を投げかけた「父さん」の一言。いったい、どうなってしまうんだろう? 高校受験を前に小さな心を揺らすそんな佐和子の前に現れる転校生、「大浦くん」(勝地涼)。彼の存在は佐和子にとって次第に大きなものになって行くのだが……。崩壊した家族を健気に支えてきた佐和子の身に起こる突然の悲劇。しかし皮肉にもその悲劇により、家族は再生への道を歩み始めるのだった……。