イギリスのパンク・バンドのパイオニア“ザ・クラッシュ”のフロントマン、ジョー・ストラマー。その才能は第一次ブリティッシュ・パンク旋風の中でも最も傑出しており、激しい対立の末に解散をしてもその人気はいささかも衰えることはなかった。時代のうねりの中でストラマーは巨大な火の玉となり、周囲を巻き添えにしながら転がり続けた。その不器用なほど真っ直ぐな生き様は、ジョニー・デップ、ボノら世界のTOPアーティストをして、カリスマと呼ばしめた。90年代半ばより結成したバンド“ザ・メスカレロス”の3枚目となるアルバムを制作中の2002年12月22日、イギリス、ブルームスフィールドの自宅で死去した。享年50歳。ストラマーがグラストンベリーで始めたキャンプファイア・イベントの“ストラマーヴィル”は、彼の死後、友人や家族に引き継がれた。そして若いミュージシャンにチャンスを与える場所となった。寄付と旧友たちの資金で運営され、チョーク・ファームのラウンドハウスが施設として改装され、サマセットにもリハーサル・スタジオができる予定であるという。映画には、70年代にストラマーが暮らしていたニューポート時代のバンド、ヴァルチャーズの音源や、101ersの頃にエルギン通りに器材を搬入している映像など、貴重な素材も盛り込まれている。