1986年10月25日のアメリカはワールドシリーズの話題で持ちきりだった。何せ68年間も優勝から遠ざかっている球団、レッドソックスがワールドチャンピオンに王手をかけて第6戦を迎えていたからだ。そんな負け犬チームを愛してやまないのが、ニューヨークの劇作家としてコメディを書いてきた中年男・ニック(マイケル・キートン)。万事テキトーに誤魔化すのが好きな中年オヤジ。生来のテキトーな性格よろしくプライベートも仕事も軽いノリで生きてきた。落ち着き度ゼロ。ギャグとも嘘ともつかぬたわ言を吐き続ける。その口とひげの動きが止まることはない。そんなふざけた男が、レッドソックスとともに負け犬人生を返上すべく、シリアスドラマで一発勝負に打って出た。しかし、いい加減に生きてきたツケがここで一気に噴出。浮気がばれて妻(キャサリン・オハラ)から三行半を突きつけられ、娘(アリ・グレイノール)にも愛想をつかされる。さらに新作の主演俳優(ハリス・ユリン)は、寄生虫に脳を侵されてセリフを覚えられないというありさまだった。さらに恐ろしいことに、彼が人生を賭けた新作の初演を、悪名高き批評家スティーブン・シュウィマー(ロバート・ダウニーJr.)が見に来るというのだ。奴にこき下ろされようものなら、ニックの評判はガタ落ち、キャリアもジ・エンドというわけだ。 芝居を成功させようと、また妻の許しを得ようと必死にもがくニック。しかし、一度狂った人生のリズムはさらに狂い、彼のおふざけ度もますますエスカレートしていくばかり。そしてニックの運命は優勝まであと一歩のところまで来たレッドソックスと次第にクロスしていく……。