大規模な再開発が進められるロンドンのキングス・クロス。若き建築家ウイル・フランシス(ジュード・ロウ)は、共同経営者のサンディと共にオフィスを開き、この都市開発プロジェクトの責任を担っていた。私生活ではスウェーデン系の映像作家リヴ(ロビン・ライト・ペン)とその娘と、北ロンドンにある高級住宅地で暮らしているが、結婚はしていない。心のバランスを崩して苦しむ娘への罪悪感から、リヴは無意識のうちにウイルが与えようとする幸福を拒んでしまうのだ。愛し合っているのに心が触れ合えない。その閉塞的な状況の中、事件は起こった。ある夜、オフィスに泥棒が入り、窃盗団の一員である少年を追ったウイルは、少年の母親であるアミラ(ジュリエット・ビノシュ)を見て心奪われてしまう。ボスニアの英雄である夫をなくし、未亡人になっていたアミラは、息子と二人で亡命してきた移民だった。ウイルは貧民街の彼女の元に正体を隠して何度も足を運ぶ。そうして徐々に親しくなっていった二人はキスを交わすまでになる。しかし、時を同じくしてアミラは気づいた。ウイルが、息子が盗みを働いたオフィスのオーナーであることに。ウイルの本心に疑いを抱いたアミラは、ウイルと肉体関係を結び、その証拠写真を友人に撮影させる。息子を守るための「武器」にしようというのだ。誰もが愛を探し、求め、もがく中、運命は残酷なまでに全てを壊し、彼らの心を試していくのだった。