マレーシアの首都、クアラルンプール。怪しげな賭けに手を出したシャオカン(リー・カンション)は、瀕死の重傷を負い、夜の街を彷徨っている。いよいよ行き倒れかというその時、大きなマットレスを運んでいる労働者たちに拾われ、その中の一人ラワン(ノーマン・アトン)の手厚い看護を受けることになる。傷ついたシャオカンの体を手当てするうちに、ラワンは穏やかで満ち足りた気持ちになっていくのだった。一方、小さな食堂で働いているシャンチー(チェン・シャンチー)もまた、女主人(パーリー・チュア)の寝たきりの息子を看病している。屋根裏部屋に住み込み、朝から晩まで過酷な労働の日々。そんなシャンチーは、ある日偶然シャオカンと出会い、花に吸い寄せられる蝶のように惹かれていく。少しずつ傷が癒えていく中で、シャオカンは自分がラワンとシャンチーとの間を彷徨っていることに気付く。まるで野良猫のように注意を引くために彼らを挑発してみせたかと思うと、蛾のように彼らのもとから自由に飛び立っていく。そしてシャンチーの女主人もまた、寝たきりの息子にどこか面影の似たシャオカンに惹き付けられていく。やがて深い霧がこの町を覆う。その濃密な空気の中で、彼らは安らぎの場所を探すことができるのだろうか……。