1914年、第一次大戦下。フランス・スコットランド連合軍と、ドイツ軍が連日砲弾を鳴り響かせているフランス北部の村。クリスマスだけは家族のもとへ帰りたいと兵士の誰もが願っていたが、戦況は熾烈さを増す一方。ある日、ソプラノ歌手のアナ(ダイアン・クルーガー)はドイツ軍司令部へ赴き、戦地の皇太子陛下のために聖歌を捧げたいと申し出る。たった一晩だけでも、徴兵されたテノール歌手の夫ニコラウス(ベンノ・フュルマン)に会うための無謀な計画だったが、その願いは聞き届けられる。ドイツ軍の塹壕には兵士達のために何万本というクリスマス・ツリーが届く。スコットランド軍の駐屯所からは、バグパイプの音色や兵士達のコーラスが響いてきた。そして、御前コンサートから戻ったニコラウスがドイツ軍の塹壕からノーマンズ・ランドへクリスマス・ツリーを手に歩み出て、すばらしいテノールを響かせる。堰を切ったように各国の兵士が集まり始め、バクパイプでの伴奏に乗せて、ドイツ軍とスコットランド軍の『聖しこの夜』の合唱がこだまする。偵察していたフランス軍も遅れまいと現れる。そして、各国の中尉たちは3カ国の代表としてクリスマス一夜限りの休戦をすることに合意し、シャンパンで乾杯を交わした。兵士たちも銃を傍らに置き、互いに片言の外国語で温かい交流を深める。そして、アナが『アヴェ・マリア』を寒々とした大地に響かせ、パーマー神父(ゲイリー・ルイス)のもと、宗派を超えたミサが行われた。こうして戦場でのクリスマスは終わった。この一夜の出来事は、すぐに軍司令部の知るところになった。中尉たちは厳しい処分を受け、兵士達はいっそう過酷な任務につき、銃を手にするのだった。