テレビ局の人気キャスター、ジョルジュ(ダニエル・オートゥイユ)と美しい妻アン(ジュリエット・ビノシュ)、一人息子のピエロ(レスター・マクドンスキ)は、豊かな中産階級者として、充実した生活を送っていた。そんなある日、ジョルジュの元に送り主不明のビデオテープが不気味な絵と共に何度も届くようになる。ビデオテープに映し出されるのは、ジョルジュの家の風景と家族の日常だ。誰かが、どこかに隠れて一家の日常をこっそりと撮影している。回を追うごとに単なる映像は徐々にプライベートな領域へとエスカレートしてゆく。漠然とした不安が、確かな恐怖へと変わっていく。恐怖とお互いへの不信感から家族に亀裂が生じ始めた頃、ジョルジュは心の奥底に封印したはずの、ある遠い日の記憶を呼び覚ます。それは、子供時代に両親が引き取った孤児マジッドとの思い出だった。マジッドに理由のない嫌悪を感じたジョルジュは、嘘をついて彼を孤児院へ追いやったのだ。そしてある日、不意にピエロがいなくなった。取り乱すアンはジョルジュをなじり、夫婦の仲は険悪になる。翌日、ピエロは帰宅した。実は母親の浮気を疑っていた彼は、わざと無断外泊して心配をかけさせようとしたのだ。マジッドが嫌がらせの犯人だと確信したジョルジュは、彼の現住所を突き止め、身に覚えがないと言うマジッドを恫喝する。数日後、マジッドはジョルジュの目の前で拳銃自殺を図った。帰宅したジョルジュは眠り、昔、マジッドを追い出した時の夢を見る。