南仏リビエラのリゾート。少女オリビア(ベレニス・ベジョ)は年老いた元外交官ルイ(ミシェル・セロー)に出会う。ルイはオリビアに、かつて出会った女性のことを語り始めた。第二次大戦が起こる直前のこと。十代のルイは避暑に来ていたが、彼の母親はテニスコーチと駆け落ちしてしまい、避暑地はその噂で持ちきりだった。しかし、ブラウン夫人(アニエス・ジャウィ)だけは母を擁護した。夫人はルイに、20年以上も前の出来事を話し始めた。夫を亡くした彼女を、義妹エリザベスがリビエラ旅行に誘った。そしてブラウン夫人はそこのカジノで出会ったある男に惹かれる。男はポーランドの貴族アントン。賭博にのめり込み身を滅ぼす寸前だったアントンをブラウン夫人は宿に送り届け、そのまま一夜を共にする。義妹の非難にもかかわらずブラウン夫人はアントンと駆け落ちする決心をしていた。しかしアントンは約束の時間に現れなかった。「今でも彼の夢を見る」というブラウン夫人。ルイが夫人の話を聞き終わった時、駆け落ちしていた母が前を横切った。母を許すようにその姿を見送るルイ。そして今、年老いたルイもまたオリビア相手の思い出話に幕を下ろそうとしていた。