トリノの映画博物館=モーレ・アントネッリアーナで夜警として働くマルティーノ(ジョルジョ・パゾッティ)は映画をこよなく愛す、孤独でシャイな青年。近くのハンバーガーショップで働くアマンダ(フランチェスカ・イナウディ)は、マネージャーとの関係が悪い上に今の仕事に満足しておらず、恋人のアンジェロ(ファビオ・トロイアーノ)が店に迎えに来てくれるときだけが楽しみだ。しかしアンジェロは車泥棒を稼業としているため、深夜が彼の活動の時間帯。わずかな時間をアマンダと過ごすと、そそくさと部屋を出て行ってしまう。ある真夜中。アマンダがマネージャーに暴行を加える。警察に通報され、思わず逃げこんだ場所が近くのモーレだった。それ以来、ふたりの奇妙な生活が始まった。はじめはうまい距離感を掴めないでいたが、ようやく少し打ち解けてきたマルティーノは、アマンダに自分が撮影したフィルムを見せる。そこにはモーレに迷い込む前のアマンダが映し出されており、二人が出会うまでのささやかなマルティーノの思いがアマンダの心を満たしていく。アンジェロがハンバーガーショップのマネージャーに警察への告訴を取り下げるよう迫ったため、アマンダは無事自宅へ帰れることになる。しかしアマンダは、何事もなかったかのようにアンジェロとの生活に戻ることの違和感も感じていた。アマンダへの想いは強まる一方のマルティーノに、アンジェロはアマンダの意思に任せようと提案。そしてアマンダの答えは、どちらも選ばない、だった。3人の複雑な想いが交差した恋愛関係が始まった。しかし次第に、無垢なマルティーノにアマンダは傾いていく。ふたりの想いを敏感に感じ取ったアンジェロは、冷静に身を引くのだった。