マリアン(リヴ・ウルマン)は、30年ぶりにかつての夫ヨハン(エルランド・ヨセフソん)に会うために、彼の別荘を訪ねる。別荘のそばには、ヨハンの息子のヘンリック(ボリエ・アールステット)とその娘のカーリン(ユーリア・ダフヴェニウス)が住み、二人はカーリンが音楽学校に入学するため、チェロの訓練を昼夜問わず重ねる。ある日、マリアンのもとへカーリンが飛び込んできて、初対面であるにも関らず、父親の激しい束縛と確執をぶつける。ある日、ヘンリックは父親のヨハンを訪ねる。ヘンリックはチェロをカーリンに買い与えるために、父親に借金を申し出た。しかし、侮辱にまみれた言葉で息子を追い詰めるヨハン。そこには50年にも渡る父子の憎しみの感情が横たわっていた。ヨハンは、父親であるヘンリックを通さず、カーリンへ直接ヨーロッパ有数の音楽学校からの入学の誘いの手紙を渡す。しばらくしてカーリンは、死の直前に母が書いた、ヘンリック宛の手紙を見つける。母は、ヘンリックの底なしの愛情がカーリンを束縛し深く傷つけることにならないか心配していた。母親の危惧が現実になったことに、カーリンは動揺するばかりだった。数ヵ月後に父娘コンサートが開催されることになった。曲はバッハの《無伴奏チェロ組曲第5番》サラバンド。しかし母親の手紙を隠していたことに怒りを隠せないカーリンは、父親にその思いをぶつけ、自分が探した音楽学校に入学することを決めたと宣言。絶望の淵に立たされたヘンリックは自殺未遂する。その夜、震えながら泣くヨハンをマリアンはなだめ、彼と一緒に寝る。なぜ不意に訪ねてきたか問うヨハンに、マリアンは「あなたが、呼んでいる」と答えるだけだった。