パーカッショニストのエヴリン・グレニーは新しいCDの録音で、ギタリストのフレッド・フリスと共に、ドイツのケルンにある廃墟となった大きな工場跡にやってくる。二人にとっては、周りにある様々な機械や手すりも楽器で、そこから新たな音を紡ぎ出していく。聴覚障害のあるエヴリンは、非常に音が聞こえにくい。しかし彼女は、体のあらゆる感覚を通して音を感じている。ニューヨーク、日本、カリフォルニア、イングランド、スコットランド……、エヴリンが行く先々の街や自然、人が持つリズムが色鮮やかに映し出される。騒音と思っていた音ですら、エヴリンにとっては譜面の上の音符となる。ごみ収集トラック、建設現場、車の騒音、都市の街音など、彼女は音に触れることで、他者とコミュニケートしていく。街や空港や石庭や海岸でエヴリンが見つけた音、街にあふれる音のオーケストラをバックに、エヴリン・グレニーとアーティストとの共演が始まる。