かつて海兵隊きっての敏腕スナイパーとして名を馳せたトーマス・ベケット(トム・ベレンジャー)。傷病除隊から数年、衰えない腕と経験を買われて、与えられた任務の成功と引き換えに念願の復職を果たした彼だったが、様変わりした海兵隊の水になじめずに、酒びたりの日々を送っていた。そんなある日、ベケットは若手政治家ニール・フィネガンの結婚式に出席する。今は亡きニールの父親ポールは、ベケットにとってはベトナム時代の戦友であり、命の恩人でもあった。生前にポールから預かっていた息子宛の手紙を代読したベケットは、実の父親のようにニールを祝福し、ポールの未亡人である女医シドニー(ジーネッタ・アーネット)と喜びを分かち合う。30年来の付き合いになるベケットとシドニーだったが、心に秘めた友情以上の想いを口にすることを、ベケットは恐れているかのようだった…。NSA(国家安全保障局)のエイブリー副局長(デニス・アーント)から新たな暗殺任務を打診されたベケットは、ターゲットの写真に目を疑う。それはなんと、死んだはずのポール(ジョン・ドーマン)だったのだ。ポールはかつての愛国心を失った危険人物に変貌し、ベトナム国境でイスラム過激派と取引をし、テロを組織しようとしているという。ベトナム警察がポールを逮捕して身元が割れれば、米国政府や、未来の大統領候補と目されているニールへの悪影響は計り知れない。ベケットは躊躇するも、その任務を引き受けることにする。一路ベトナムへ飛んだベケットは、ホーチミン警察のクアン刑事(バイロン・マン)と合流する。警察には内密でNSAの連絡員として活動しているクアンは、ポールを取引現場で逮捕するという警察の計画をベケットに明かす。逮捕の直前にターゲットを消すこと。それがベケットの役目だ。午後10時、ベケットの照準が大勢の客でごったがえすクラブの片隅に、ポールの姿をとらえる。古傷の指が震える。引き金を引くベケット。しかし弾丸は目標をわずかに逸れる!