1960年代、トルコのイスタンブール。スパイス店を営むおじいさんの家で、暖かい家族、大好きな友達に囲まれ育った少年ファニスは、屋根裏部屋でおじいさんからスパイスの効用、天文学の話を聞いて育つ。そんなある日、戦争の煽りでギリシャ人強制退去の命を受け、「後で追いかける」と言うおじいさんを残して、一家はアテネへ移住。しかしおじいさんとは会えないまま時は過ぎ、ファニスは料理の上手な子供から青年へ、そして天文学者へと成長する。やがて、いよいよおじいさんから移住の連絡が入る。しかし歓迎の料理を作り、家族皆でおじいちゃんの到着を待つ席で電話のベルが鳴る。おじいちゃんが重い病で倒れてしまったのだ。2003年。自らイスタンブールを訪ねたファニスは、昏睡状態のおじいちゃんと再会し、その最期を看取る。葬儀で幼なじみのサイメに再会したファニスは、彼女がやはり幼なじみのムスタファと結婚したこと、幼い娘がいること、結婚は破綻しかけていることを知る。そしてファニスは、一番大切な「人生のスパイス」を手に入れようと心に決めるのだった。