イルミネーションに彩られた東京のクリスマス・イヴ。そのとき突然街から光が消え、東京がかつてない暗闇に沈んだ。ラジオでは、緊急ニュースを伝えるアナウンサーの声が流れる「12月24日午後5時過ぎ、首都圏全域が大規模な停電に見舞われました」。見ず知らずの麻衣子を心配し、病院の屋上にやって来た天体マニアの少年・翔太。生意気な麻衣子の要求でふたりは病院から抜け出し、自転車に乗って走り出す。エレベーターでは、中国人のホテル研修生の冬冬(阿部力)と、上司との不倫中関係に悩むOL、美寿々(井川遥)が閉じ込められてしまう。四角い空間の中でとりとめもなく会話をしているうちに、いつしか客とホテルマンの間に奇妙な友情が芽生え、互いの恋について語り始める。真暗な部屋でひとり夫の帰りを待つ主婦・静江(原田知世)。そこへ、夫の遼太郎(田口トモロヲ)が帰ってくる。向き合うことの少なかった夫婦が、食卓のキャンドルに灯をともす。実は、静江は離婚を考えていた…。地下鉄に閉じ込められた元ヤクザの銀次(吉川晃司)は、妊婦の礼子(寺島しのぶ)の陣痛に遭遇する。いっこうに電車は動きそうになく、礼子の陣痛はいよいよ激しくなってくる。銀次は礼子を救うため、彼女を背負って地下鉄から脱出しようとする。数十年連れ添った夫に、「ある秘密」を隠している小夜子。クリスマス・イヴに夫・義一に告白するが、妻の「秘密」に衝撃を受けた義一は家を飛び出し、暗闇の街をさまよう。そして、人気のバーのマスター木戸(豊川悦司)のもとに、キャンドルショップの店主・のぞみ(田畑智子)が売れ残りのろうそくを抱えてやってくる。初めて言葉を交わすふたりの間に、暖かな交流が生まれる。やがて木戸は、忘れられない恋のことを語り始める。その頃、真っ暗な保育園では、幼い仁矢がクリスマスの贈り物を待っていた。年齢も境遇も性格もちがう12人の男女は、停電により向かい合った相手に、真実を語りだす。