ソウルのコンサート制作会社で照明のチーフ・ディレクターとして働くインス(ペ・ヨンジュン)が、妻の交通事故の知らせを受け取ったのは、仕事の真っ最中のことだった。東海岸の小さな町、サムチョク。救急病院の手術室の前で、インスはソヨン(ソン・イェジン)と出会う。そして、ふたりに残酷な現実がつきつけられる。それぞれの妻と夫は一台の車に乗っていた。デジカメ、携帯電話……2人の疑惑を裏づけ、知りたくもない現実が突きつけられる。「死んでくれればよかったのに」。意識の戻らぬ妻に向かい、インスの唇からそんな言葉が思わず漏れ出す。疑惑が確信へとその姿を変え、生死をさまよう者たちへの思いが憎悪になる。しかし、彼らは真実を確めずにはいられない。インスとソヨンは互いの結婚相手のことを語り合う。そして、それぞれが結婚する前、大学時代からの知り合いであることを知る。今や確める術もないが、何時から欺かれていたのか? 悲しみは憎しみとなり、そして無力感だけが残った。他の誰にも語ることのできない真実を、はからずも共有することになったインスとソヨン。ふたりはいつしか互いの支えとなっていることに気付く。傷の深さの分だけ、それを埋めるかのようにインスはソヨンと愛し合う。しかし、転機は唐突に訪れた。インスの妻が意識を取り戻し、ソヨンの夫はさらに状態を悪化させてゆく。目を奪う鮮やかな花弁の上に舞い降りる“四月の雪”。それは幻のように儚く消えてゆく。いつしか春を迎えようとしているサムチョクの街。ふたりの愛も雪のように消えてしまうのだろうか。