クリスマス・イブの夜、少年はベッドの中でじっと耳をそばだてていた…。聞こえるかもしれないサンタのソリの鈴の音を待ちながら。でも、鈴の音は聞こえない。真夜中まであと5分。時計の針が11時55分を指した、その時だ。少年は突然の轟音を耳にした。思わずベッドから跳ね起き、窓辺に駆け寄ると、そこには信じられない光景が! 降りしきる雪の中、サーチライトを夜空に向け、もうもうと白い煙をあげながら、黒光りする巨大な蒸気機関車がこちらに向かって近づいてくるのだ。その機関車は、少年の家の前まで来ると、ぴたりと停まった。パジャマのまま表に飛び出した少年を待っていたかのように、車掌(声:トム・ハンクス)が問いかけた。「キミも、一緒に来るかい?」。北極点行きの急行「ポーラー・エクスプレス」。車掌はそう言ったが、目の前の出来事も、車掌の言っていることも、少年はすぐには信じられない。早く乗車するようにとすすめられても、まだ迷っていた。「乗客者名簿にはキミの名前が載っているけど、キミの好きにすればいいさ」。車掌の一言を残して動きだした汽車に、少年は思い切って飛び乗った。車内にいた大勢の仲間たちと一緒に、そのとき、少年の旅が始まった。知ったかぶりをする男の子(エディー・ディーゼン)、何かを言いかけてはやめてしまう女の子(ノーナ・ゲイ)。最後に停車したのは貧しい地区で、たった1人別の車両に乗り込んだ男の子(ピーター・スコラリ)は、ずっと黙り込んだままだ。そして少年は、いまだに自分の身に起こっていることが信じられずにいた。それぞれの思いを乗せて、いざポーラー・エクスプレスが走りす!