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午後の五時

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  • 平均評点

    60.2点(6人)

  • 観たひと

    11

  • 観たいひと

    2

  • レビューの数

    0

基本情報

ジャンル ドラマ
製作国 イラン フランス
製作年 2003
公開年月日 2004/7/3
上映時間 105分
製作会社 マフマルバフ・フィルムハウス=ワイルド・バンチ=BACフィルムズ
配給 東京テアトル
レイティング
アスペクト比
カラー/サイズ
メディアタイプ
音声
上映フォーマット

スタッフ

キャスト

解説

「カンダハール」で知られるイランの巨匠モフセン・マフマルバフを父に持ち、18歳で発表した長編「りんご」をカンヌ国際映画祭に史上最年少で正式出品。以来、新作を発表するごとに国際的な注目を集めるサミラ・マフマルバフ監督作。タリバン政権崩壊後のアフガニスタンを舞台に、女性には厳しい社会環境の中で自由と希望を求め行動するひとりの女性を描いたヒューマン・ドラマ。脚本はサミラと父モフセンの共同執筆で、2003年のカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した。

あらすじ

青いブルカに、青い日傘をさした女性ノクレ(アゲレ・レザイ)。今も女性が勉強したり働いたりすることを神への冒涜と信じている父親(アブドルガニ・ヨセフラジー)と、パキスタンへ出稼ぎに行ったきり戻らない夫を待ち続けている兄嫁のレイロマ(マルズィエ・アミリ)と暮らしている。ノクレは毎日父親の馬車で送られ宗教学校に通う。だが、彼女の目的の場所は違った。ノクレは白いハイヒールに履き替えると、女性に一般的な学問を教える普通学校へと向かった。その日、女子生徒たちは先生に将来の夢を尋ねられた。教師、エンジニア、医者と、誰もが未来へ希望を持っていた。最後の「アフガニスタンの大統領になりたい人は?」との問いかけに、メガネをかけた少女ミナが立ち上がる。ノクレも勇気を出して立ち上がった。「女が大統領になれるわけがない」という生徒もいたが、ミナは堂々と反論。ノクレは、そんな彼女を見て自分の気持ちを強くした。家に帰ったノクレが水を探しに行くと、そこにパキスタンからの鈴なりの帰還民をのせたトラックが到着する。戻ってきても住む場所のない彼らのためにノクレは何かをしてあげたかった。壊れた家でもよければ、と彼女は帰還民たちを自分の住む家へと案内する。その途中、ノクレは高揚した好奇心から「パキスタンの大統領は男? 女?」と1人の青年(ラジ・モヘビ)に尋ねる。しかし、青年に「兄弟を戦争で亡くしたから、政治家のことなんか答えたくないよ」とあしらわれてしまう。家は、たくさんの帰還民で大混乱。その夜、新しい隣人が大音量で流し続ける音楽に、信仰篤い父親は我慢ができず、ノクレたちを連れて家を出る。家族は、戦争で破壊された飛行機を見つけて、ようやくそこに落ち着く。水もない、食べ物もない。暮らしは日に日に苦しくなる。赤ん坊は飢えと病気で弱っている。レイロマはついにお乳が1滴も出なくなった。ノクレに助けを求めるが、彼女には赤ん坊を助ける術がわからなかった。翌日、普通学校へ向かう途中、ノクレはあの帰還民の青年と彼の母親に出会った。「母さんの入学手続きさ」と冗談を言う青年に、ノクレの気持ちもやわらぐ。青年は、パキスタンでブットが大統領選に出馬したらしい、と教えてくれた。ノクレは、ブットや誰か女性の演説の内容を知りたいと青年に頼んだ。その日、彼女は教室で「大統領になってアフガン女性の教育の遅れを取り戻したい」と、自分の意見をはきはきと述べた。一方、ミナはかつてタリバンにムチ打たれた恐怖を語りながらも、「私は大統領になっても復讐はしない。彼らを許す」と話した。授業を終え、学校の門を出ると、青年が待っていた。カルザイ大統領の演説原稿を持ってきてくれたのだ。ノクレは礼を言いながらも、噂を恐れて足早に去るが、青年はノクレの後をついていく。そのとき、道端の屋台が急に爆発。タリバンの残党が、普通学校に通う娘たちを狙ったのだろうか。ミナは、爆発に巻き込まれた。ノクレたちの飛行機には、また帰還民が押し寄せていた。父親は一人の男から、息子は無事にしていると聞き、胸をなでおろすが、それも束の間、子供達にお祈りを邪魔され、こんなところでは落ち着かないとまた出て行く。一家は、今度は廃墟となっている宮殿に住むことにした。宮殿の近くで1人のフランス兵士を見つけたノクレは、臆することなく、片言の英語で話しかけた。そこへあの青年がやってきて、通訳をかってでてくれた。やがて青年が「大統領選挙のために写真を撮りに行こう」とノクレを誘う。風をきり、自転車に二人乗りをして、カブールの町を走る。数年前には信じられない、男女の自転車の二人乗り。ノクレは気持ちが空高く広がるのを感じた。青年はノクレに、自分は詩人なのだと話す。翌日、学校に行くと、ミナの追悼が行われていた。その死を知らなかったノクレは、ショックを受ける。その頃、父親は帰還民の男から、息子が事故で死んだことを知らされていた。ノクレは希望をなくしていた。そこへ青年がやってくる。気落ちしたノクレを励ますように、宮殿の柱に彼女の写真を何枚も、何枚も貼っていく。大統領になんかなれない、演説だってできない、と青年の優しさをはねつけるノクレ。青年は、演説の練習をするには牛に向かって話せばいい、自分も牛に向かって詩の朗読の練習をしているんだ、と彼女に教え、力づける。ノクレは少し微笑んだ。青年は、彼女に自分の好きなスペインの詩人の詩を渡し、その詩を諳んじる。「午後の五時…のこるは死だけ」。ノクレの胸の中にまるで何かを予兆するようなその言葉が響いた―「のこるは死だけだった ああ あの恐ろしい午後の五時」。

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