新人神父のアマロ(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、メキシコ、アルダマの小さな町ロス・レジェスの教会に派遣される。司教から有望株として大きな期待を寄せられている彼は、いずれローマへ行くための見習いにと、教会の司祭ベニト神父(サンチョ・グラシア)のもとに送られてきたのだった。町で小さなレストランを切り盛りするサンファネラ(アンヘリカ・アラゴン)の一人娘のアメリア(アナ・クラウディア・タランコン)は宗教心が厚く、積極的に教会の仕事にも参加していた。アメリアはアマロ神父の凄然とした振る舞い、野心に燃える瞳の中に愛する神の姿を見出し、憧れの気持ちを膨らませていく。アマロもまた、彼女の率直な愛の表現に戸惑いながらも、次第に引かれてゆくのを感じていた。ある日、思いつめたような表情で教会を訪れたアメリアは、告解室にはいるなり、「性欲のことで悩んでいる」と告白する。つとめて平静を装いそれらしい答えで取り繕うアマロ…。町に滞在してしばらく経つと、アマロは教会を中心にした様々な隠された真実を知ることになる。ベニト神父は、病院建設への寄付という名目で麻薬密売組織から金を受け取り、またアメリアの母サンファネラと長年の愛人関係にあった。別の教区のナタリオ神父(ダミアン・アルカサル)は、貧しい農民を救う目的でゲリラを支援しているという噂が…。そして地元の新聞にそれらの事実を暴かれると、アマロは新聞社に圧力をかけ、記事の揉み消しと関係者の処分を要求するようにと、司祭に命じられる。なにもかもが、思い描いた理想の世界とは、異なっていた。そして押さえきれないアメリアへの想いが噴き出し、ついにふたりは肉体関係を持ってしまう。アマロとふたりの幸せな生活を夢見るアメリアは「神父を辞めてほしい。結婚して一緒に暮らしたい」と告げるが、アマロは聖職者としての野心を捨てきれない。ロス・ジェレスで知った教会の絶対的権力はあまりにも大きく、抗えないものを感じていたアマロは、彼女の気持ちに応えることができない。そして運命は、更なる非情な枷をふたりの愛に与えようとしていた……。