キューバハバナに住む女学生、ラリータの家の隣りにはヘミングウェイの大きな邸宅がある。ラリータは早朝にこっそりへミングウェイ家のプールで泳いだりもする。窓の内側の老人は見て見ぬふりをしている。彼女は「老人と海」の物語がもつ力強さにひかれていたのだ。そんな中、ラリータは夢であるアメリカ留学の奨学金を申請するが、家族や学園紛争に夢中の恋人は反対する。そのうえ留学にはアメリカ国籍を持つ有力な保証人が必要だという。“あの有名な老人に頼んでみよう”そう決心したラリータは期待と不安を胸に門扉を越えて、家までの長い坂道を上がってゆく。ヘミングウェイはラリータを助けることができるのだろうか―。