1977年。パリのアパルトマンで、オペラ界の伝説のスター、マリア・カラス(ファニー・アルダン)は隠遁生活を送っていた。そんなある日、カラスのかつての仕事仲間であるプロモーター、ラリー(ジェレミー・アイアンズ)が、カラスの全盛期の録音を使い、カラス主演のオペラ映画を製作する企画を持ってくる。一度は反発したカラスだったが、苦しい胸中をジャーナリストの友人サラ(ジョーン・プローライト)に打ち明け、やがて承諾する。作品は「カルメン」。たちまちヒロインの役作りにのめり込んでいったカラスは、相手役のドン・ホセに自らマルコ(ガブリエル・マルコ)を選ぶほどの熱の入れよう。だが「カルメン」のテスト試写を見たカラスは動揺し、ラリーに「トスカ」を今の自分の声で歌いたいと提案する。それは却下されたが、やはり口パクの作品を公開することはプライドが許さず、「カルメン」のお蔵入りを要求するのだった。