1946年、フランスに亡命していたロシア人医師アレクセイ(オレグ・メンシコフ)は、特赦を受けてフランス人の妻マリー(サンドリーヌ・ボネール)と息子セルゲイ(ルーベン・タピエロ)を連れてソ連へ帰還。しかし一家を待っていたのは苛酷な日々。共同住宅での生活に自由はなく、外国人であるマリーの行動は皆に監視された。やがてフランス語の歌をうたっていた祖母を軍に殺され住む部屋を失った水泳選手サーシャ(セルゲイ・ボドロフ・ジュニア)が、マリーの好意で彼らと同居することに。力強く泳ぐサーシャの姿は、マリーの希望の象徴となった。その頃、フランスの国立民衆劇場が公演に訪れ、マリーは大女優のガブリエル(カトリーヌ・ドヌーヴ)に掛けあい、窮状を記した手紙を託す。一方、アレクセイからは浮気を告白され、彼を部屋から追い出してしまう。2ヵ月後、マリーはサーシャと男女の一線を越え、やがて密航を計画する。サーシャは荒波を泳いでフランスに辿り着き、ガブリエルの尽力でカナダ亡命を果たす。しかしマリーは、スパイとして強制収容所送りに。6年後、ようやく釈放。アレクセイと14歳に成長したセルゲイ(エルヴァン・べノー)が迎えにきてくれた。その2年後、共産党の幹部となったアレクセイ。ブルガリアのフランス大使館ではガブリエルがマリーたちの亡命の手配を済ませており、マリーはようやく、アレクセイが彼女を亡命させるために地道な戦いを進めていたことを知る。夫の愛の深さを噛みしめるマリーだが、それは彼との別れを意味していた。そして彼女はサーシャとの再会を信じて、セルゲイと共にフランス大使館へ駆け込むのだった。