ダブリンの街。マイケル・リンチ(ケヴィン・スペイシー)は、街では有名な強盗団のボスだ。スティーヴィー(ピーター・ミュラン)やトニー(デイヴィッド・ハイマン)らの信頼できる仲間と共に犯罪を繰り返す彼は、金そのものには興味がなく、挑発的な態度で体制や金持ちをからかうのが目的だった。それゆえ街の大衆からは人気があった。犯罪に関しては切れ者のリンチも、家に帰れば妻クリスティーン(リンダ・フィオレンティーノ)を愛す良き夫であり、子供たちの良き父親。しかもクリスティーンは自分の妹リサ(ヘレン・バクセンデール)のことも彼の妻だと認めており、リンチは2軒を行ったり来たり。そんな彼が、ある時、カラヴァッジオの絵画『キリストの逮捕』を盗み出す。仕事は成功したものの、そのキリスト像にふと自分の姿を重ねてみるリンチだった。やがて悲劇は訪れる。宿敵クイッグリー刑事(スティーヴン・ディレーン)が強行手段に出て、リンチ一味の失業保険を切ることにより、金に困った強盗団の結束は自壊していく。スティーヴィーの裏切りで、リンチは徐々に追い込まれ、ついに警官隊に射殺される。届いた訃報にクリスティーンとリサは悲しみをこらえながら、警察に向かうのだった。