97年夏、テヘラン。ナデリー家の双子の姉妹マスメとサーラ(本人)は生まれて以来、父親(ゴルバナリ・ナデリー、本人)によってずっと家に閉じ込められていたが、近所の署名運動で社会福祉事務所によって保護された。父親は娘たちを今後は家に閉じ込めないと約束して姉妹をひきとるが、相変わらず家に鍵をかけて外出。ソーシャルワーカーのモハマディ夫人(アジゼ・モハマディ)は彼を非難するが、母親(ソグラ・ナデリー)が目が不自由という事情もあった。夫人は娘たちを外へ遊びに連れ出すと、鍵を奪って父親を娘たちがいた鉄格子の中に閉じ込めた。夫人は父親にのこぎりを渡し、扉の鉄格子を自分で切るようにと言って立ち去る。さて、初めて外に出た姉妹にとって、世界は夢のようだ。彼女たちが欲しがったのはりんごだった。りんごを持った少年と遊び、りんごを買うお金をもらってまた元気に飛び出して行く。公園では身なりのいい姉妹と仲良くなって、4人でりんごの早食い競争をしたりする。やがてマスメが時計を欲しがった。だが、時計屋はお父さんを連れておいでという。近所の婦人から自分が有罪になると聞かされたりして失意の父は、モハマディ夫人に鍵を開けてほしいと頼むが、夫人は娘たちが開けるのならいいと彼女らに鍵を渡す。姉妹は鍵を開け、父の手をとって外へ出る。娘たちの名を呼んで手探りで路地まで出てきた母親の手にりんごが触れる。