心の病を抱えるムイシュキン公爵(ジェラール・フィリップ)はスイスでの療養を終えペテルブルグの将軍家のもとへやってきた。将軍家では娘のアグラーヤ(ナタリー・ナティエ)と大地主トーツキイ(ジャン・ドビュクール)、トーツキイの元愛人ナスターシャ(エドウィージュ・フイエール)と将軍の秘書ガーニャ(ミシェル・アンドレ)の結婚話が進んでいた。ナスターシャを不幸な女性と直感したムイシュキンは彼女を助けようとするが、純真さゆえの彼の言動は逆に周囲の人間を混乱させるだけだった。ナスターシャはムイシュキンに惹かれつつも商人ロゴージン(リュシアン・コエデル)に金で囲われ、アグラーヤはムイシュキンに好意を持つ。彼をめぐるナスターシャとアグラーヤの対立は深まり、ロゴージンの嫉妬も手伝って事態は予期せぬ方向へ展開していく。