サザエさんのお父さんに若松のお祖母さんから、お祖父さんの三十三回忌に来てほしいとの手紙がきた。お父さんは、サザエさんの婚約者フグ田君が九州から上京してくる筈なのが中止になりサザエさんがガッカリしていたときだけに、彼女を若松にやる旁らフグ田君と会ってくるようにと、サザエさんとカツオ君を代表として出発させた。途中、相変らずのそそっかしさを発揮して若松へ着いたサザエさんは、三十三回忌の法要の夜も男性に負けじとお酒を飲み踊り出したため伯父さんたちから大目玉を頂戴した。「大阪の叔母さんの旅館で行儀作法を教えてもらいなさい」という伯父さんの言葉にベソをかきそうになっているところへ、フグ田君が休暇をもらって訪ねてきた。フグ田君の案内で、サザエさんは北九州の名所を楽しく回ったが、佐世保へ行く観光船の中で、フグ由君の下宿先の娘でヅカガールの悦子さんに出会ってから様子がおかしくなってきた。フグ田君と親しげに話す悦子さん。サザエさんは面白くないままに北九州一周を終り、カツオ君と帰京することになった。見送りに来たフグ田君は近く大阪へ転勤になると告げた。帰りの汽車が大阪に着いたときサザエさんは何かにとりつかれたように途中下車、叔母さんの旅館へ行った。彼女は、フグ田君の来るまで、ここで働くことにした。ヅカガールで大阪の近くに住む悦子さんに恋人を取られまいと。やがてフグ田君が大阪へ転勤してきた。叔母さん初め揃って宝塚大劇場へ出かけた。姫君に扮した悦子さんが舞台に現れた。フグ田君の猛烈な拍手。サザエさんは急に席を立って表へ出た。驚いたフグ田君は後を追いかけ、「僕が好きなのはサザエさんだけだよ」と婚約指輪をその指にはめてやった。