フィリピンのマニラ市の北に位置する東洋最大のゴミ捨て場にして、スラム街のスモーキータウン。その名の由来は、ゴミが自然発火して年中煙を発生させているところから来ている。ここには、再生利用が可能なゴミ、ビニールや缶、瓶などを拾い転売している“スカベンジャー”と呼ばれる人々が暮らしていた。青年JR(18歳)は、そのスカベンジャーの一人。8、9歳の頃からこの職業に就き、一人暮らしの生計をこれで立てていた。そんな彼がクリスティーナという少女と恋に落ち、二人は結婚する。子供が生まれ幸せの絶頂を迎えるはずだったが、子供が血液の病気にかかり、その薬代をめぐって二人は喧嘩の毎日。やがて別居してしまうのであった。マリルー(14歳)は学校をやめてスカベンジャーとなった少女。兄弟が多いために、彼女の収入は家計を助けている。そんな彼女はこのような生活でも田舎よりはましだと語るのであった。イルミナダ(43歳)は三人の父なし子を連れた母親。彼女もまた一家の生計を支えるために、夜中にゴミを拾って歩く生活をしていた。だがある日、一番上の子供・エモンが家出をしてしまう。どんなに幼くても男手の必要だった彼女にとって、それは大きな痛手となった。イルミナダは喋ることも満足に出来ない幼子二人を抱えて、途方に暮れる日々を過ごす。一方、エモンは友人の家に居候し、いろいろな仕事を転々としていた。一年後、スモーキータウンにゴミが運搬されなくなった頃、JRはクリスティーナとヨリを戻し、貧しいながらも親子三人仲良く暮らしていこうと決意を新たにしていた。マリルーは仕事にあぶれ、一家とともに田舎へ帰って行っていた。イルミナダはスモーキータウンの近くのジャンクショップで働いているエモンから給料の半分を貰いながら、行方不明となってしまった二番目の子供を探しつつ、暮らしを続けているのだった。