明治中期、講道館の天才児姿三四郎は、病気の父をかかえて傾きかけた越後屋の娘しのぶを柔術丹心館道場の壮士から救った。この日からしのぶの心は、彼を慕い、丹心館の鬼丸鉄源は、道場破り榊剛造、手裏剣の名手左近司と一丸になり、三四郎を狙った。三四郎は弟の正男と下宿住いする身だ。正男は南村子爵の令嬢克美と目下恋愛中だが、克美は政略結婚をさせられようとしていた。一方、丹心館柔術はついに講道館に挑戦してきた。しかし館長矢野正五郎は三四郎に、門外で柔道を行うことを厳禁した。丁度その頃正男も南村家の出入り禁止に会った。また、三四郎は左近司におぴきよせられ、心ならずも榊と対決する破目となった。が、三四郎は師の言いつけを守って辛くもそれをさけた。が、あくどく無暴ないやがらせは、正男の恋人克美にまで及ぶにいたって、三四郎は榊へ果し状を送った。しのぶの作ってくれた着物を着て旅立つ三四郎は道場の名札もはずし、故郷の山にも別れを告げ、竜頭ケ原へと向った。左近司の手裏剣、榊の必殺の技、鉄源の両手逆十字の攻め手と、三四郎の山嵐の技が、雪と風に交わって壮絶であった。