雑誌「オベリスク」の社長関根は金主船越から「お前のとこの田島という男にうちの娘がぞっこんなんだ」と聞かされおどろいた。何んとしても田島と船越の令嬢を結びつけなければならない。ところで田島は編集長で希代の美男、そしてドンファンである。関根から頼みこまれて田島は大弱り、田島には今四人の女がいる。どれも美人でかんたんにはグッドバイということにならぬ。よほどスバラシイ美人でもつれて「実はこれがワイフです」とでもやらなければならない。そんなスゴイ美人は仲々いない田島は思案にくれてまちをあるいていると「田島さんでねえか」と背中をたたかれふりかえると目のさめるようなすばらしい服装をした美人田島が目をみはっていると「おらを忘れたかニイ」と異様なことば。ハッと気のつく田島。この女は前々から田島の社へ紙を売りこみにくるカツギヤだった。「オラだってたまにはいいかっこしたっていいだろ」そういう女きぬ子の顏はものさえいわなければ大家の令嬢とまがうばかり。田島はハタと手をうった。そしてここで二人の契約が出来、きぬ子は物をいわぬことにして田島の仮のワイフとなり、田島の四人の女を田島とともに訪れ、美容院のマダム蘭子、芸者の鈴龍、カストリヤの女将たまとそれぞれグットバイ宣言にのりだす。だれもみんなきぬ子の美ぼうに圧倒され、声をのんで田島のいう「グッドバイ」に泣きくずれる、最後に女給のケイ子を訪れるが彼女は二人の姿をみただけで姿をくらます。まず計画は成功。いよいよ関根と共に船越邸にのりこむが、さて現れた令嬢はきぬ子にそっくり、田島はぎょう天する。しかし他人の空似と思ってこの美しい令嬢絹代に求愛する田島を絹代は--実はきぬ子だった--軽くおさえて外出してしまう。あとで絹代の実態を知って田島は、全く放心、最後の女ケイ子のところへたどりつく。裏切られ、しかもなお田島を愛するケイ子に田島の傷ついた心がいやされるかに思った日、絹代が現われ、こんな男でも「愛によって許す」ケイ子の姿を見、絹代はかつて信じ愛したがちょっとしたあやまちのために「グッドバイ」をいった青年、敬太を許すためにとび出した。