国破れて三年半、荒廃した国土にインフレーションが吹きすさんで、産業の復興は遅々として進まない。即ちインフレーションの最大の原因、財政収支の均衡化に税務当局は、脱税摘発に「Tメン」を組織した。所は藤村産業のビル前。警官隊と合体した「Tメン」の一団、吉岡、加納、三原ら達が事務所内の帳簿の査察をやっているが、問題の二重帳簿が手に入らない。折しもこの社の社長藤村が入ってくるが、彼は意味ありげに笑いながら彼等たちを追い返してしまう。しかし経済新聞の立花は藤村にしつこくつきまとっている。一方中央党の幹部南郷は元伯爵壬生夫人と恋愛関係にある。また藤村も彼女を狙っている。南郷と藤村とは、切っても切れない「金」というつながりを持っている。政党と藤村産業の因縁は、壬生夫人と「二重帳簿」を中心に次第にもつれ始まった。これを察知したのが新聞記者立花である。彼は「Tメン」の吉岡達と協力して二重帳簿の行方の捜索を開始したが、怪漢藤村はなかなか証拠を暴露しない。突然、記者立花があるポイントをつかんだらしい知らせを残して行方不明となってしまった。「Tメン」と警察とが一大行動を開始した。ちょうど藤村達は、中央党の運命を担っている南郷は、金と女に苦しんでいた。藤村は金の力で思ったことは何でもやる性分だ。遂に藤村は南郷から壬生夫人を連れ出す。熱海へ、だが南郷としても壬生夫人をあきらめきれない。彼等の後を追って熱海へ、更に彼等たちを追って「Tメン」の面々。警察の一隊。遂に立花の他殺の死によって藤村に足がつき、更に、南郷、壬生夫人の心中によってすべてが解決して行った。「Tメン」達は「これからが大切だ」とつぶやくのであった。