荒りょうとした山すその道に古めかしい洋風の家が、山ろくの林にかこまれている風変わりな時計塔のみが白い文字盤を無気味に浮き出している。土屋達夫は伯父の賛平と長らく放り出しておいたこの家をホテルにしようと計画、早速手入れにおもむくが、村人のうわさによれば、殺人、幽霊の家だという、以前に殺人の事実はあったが、それが話題になって無気味に寒気をよぶ家の中である。そこで達夫は見知らぬ娘園枝に会うが、その女はナゾの様に「時計台に宝石がある」といって、身分も明かさず、ホテルの使用人に叔母松代と住み込む、建築技師の落合、弁護士の柏木らがホテル建築に協力する。達夫の許嫁の順子も来ている、達夫の親は無理解な結婚をさけようとすれば、順子は園枝に当たってくる、園枝は以前従妹の妙子の友人であることだけ分かっているが、それ以外何も分からない。妙子は父親を殺して今は亡き人、しかしその殺人事件も解決していない様だ。達夫は先ず時計台のナゾを解こうとする、園枝は苦悩の表情をいだきながら何か解決しようとしている、落合、柏木らは園枝について何かしら感ずいている、突然叔母の松代の死体、警官が乗り込んでくる、深夜の十二時。園枝は時計台に登って行く、あとをつける達夫、叫び声、「あの人が父を殺した人です」達夫は園枝をかかえながら追う。警官隊に捕らわれた人、落合である。園枝は語る「私は妙子です、父を殺したのは私ではありません、私は父の犯人をさがすために顔面の手術をされました、叔母や落合は宝石のありかが分かっていたのですね」バルコニーに達夫と園枝ならず妙子が、順子と柏木達を送っている姿が見えた。