同じ会社に勤める義夫と春江は結ばれて家庭を持ったが、サッカリンのような甘さに隣家のオールドミス茂子や、会社の同僚たちはすっかり悩まされていた。義夫の同僚中村と小林が新婚家庭を襲って酔いつぶれた一夜、いたって気のいい泥棒が侵入して男三人を縛ったが、春江は得意の甘さで泥棒を丸めて、盗られた品物を全部泥君に進呈した上酒まで飲ませて「これをもとでに何か地道な商売見つけてちょうだいな……」と帰してしまう。納まらないのは義夫で、泥棒と何かあったと邪推、春江はフン然として伯母のところに帰ってしまう。やぶ医者である伯父は男の立場から義夫に同情するが、強気の伯母は春江の肩をもって断固離婚を迫って家庭争議が持ち上がる。その昔義夫と春江の二人がある岩頭で恋を語らったとき「君がぼくを捨てて逃げるようなことがあったらぼくはここから飛込んで死んでしまうよ」「そう私もよ……」と甘く誓ったことを一枚の写真から思い出した春江は、万一の場合を心配して伯母と海岸をさまよい歩く。一方、すっかりくさった義雄は慰める伯父と二人で海岸のホテルで馬鹿騒ぎを演じている。その二組が偶然ホールでバッタリ顔を合せる。