日野江家の主人牛三の甥牛男が上京するというので、馬子夫人が東京駅へ迎えに行った当日のことである。近所の新婚家庭に空巣が入り、女中連が集って大騒ぎしている。が、わが家が空ッポなのに気がついておトラが飛んで帰ってみると、見知らぬ男がいる。おトラはテッキリ彼を牛男だと思い、下へも置かぬもてなしをした。が、実は彼女が追っ払った押売りが牛男であることを馬子夫人に聞いたときはすでに遅く、ゴッソリと着物が盗まれていた。そんなおトラを元気づけてくれた新聞配達の少年が、ある朝女中連にとっちめられている。牛乳泥棒と間違えられたらしい。が、おトラからその少年の境遇や善行を聞かされて彼女たちは逆に同情した。修学旅行に行けない少年のため、彼女たちは協議の結果、賞金一万円のクイズに女中連や御用聞を総動員して参加することになった。さて当日、勝利を目前にしておトラは奮闘した。が、客席の中に空巣に入った泥棒を見つけて彼女は突如試合を放棄、客席へとび降り泥棒を捕えた。それから数日、泥棒逮捕の功により、おトラは一日署長を勤めることになった。新聞を配達する少年の善行を賞して表彰状を渡すおトラ。そこへ「牛乳泥棒は私です……」と飛び出して来た男があった。なんと、それは新聞配達の少年が探していた父親だった。すべての実権を任せられている一日署長のおトラは、その罪を許してやった。ファン・ファーレが、二人の幸せを祝福するかのように鳴り渡った。