ある田舎町。男女共学の城北高校の生徒、義経こと曽根耕一と静御前こと三須弓子は、ともに秀才で大の仲好し。今日も同級の弁慶こと金森菊次と三人、通学の自転車を元気に走らせる。菊次はスポーツマンで勉強もできるが、神官の小野塚さんは、娘せつ子の婿に彼を望んでいる。が、せつ子は小学四年生だ。高校生の三人にとって最大の問題、受験シーズンが来た。が、菊次は家が貧しいので勉強しても張合いがない。しかし、かつて菊次に世話になった米倉すいが、御礼に自分が製糸工場で働く金で学費を出してやると申出た。ところが、すいを好きで相手にしてもらえぬ町のチンピラ正道は、二人の会っているところを仲間から聞き、これを“城北高校生の桃色事件”と岡目日報に書き立てた。だが清盛こと出川先生と小野塚氏の証言で無事、二人は白日の身となった。一方、弓子は東京から来た従兄とすっかり仲良くなり、耕一の嘆きをよそに、一緒に東京へ出て帰らない。菊次に慰められたものの耕一は、ある夜、家出してしまった。と、入違いに弓子が戻ってきた。話を聞いて弓子は愕然、皆と探した挙句、彼を見つけ、もとの仲良しに返った。いよいよ受験が近づいた。耕一の父、曽根氏は、菊次に、伜と一緒に東大を受験しないかと勧め、学費は自分が持つと申出た。菊次は独立独歩で進もうと誓っていたが小野塚氏の勧めもあり遂に受験を決心した。その学費は曽根氏と、せつ子の養子にと彼を望む小野塚氏が共同出資することになった。菊次と耕一は東大をパスした。が弓子は落ちた。入学のため二人は故郷を後に車中の人となった。その時、意外にも車内へ現れた女性--洋裁学校へ入るため上京するという弓子であった。