黄門さん一行は越前福井の城下に現われた。ここで顔見知りの三徳、亀蔵等に出会ったが、彼等は旅まわりの尾上時枝という女太夫に拾われて役者になっていた。所が城下には半月前から鬼面組と称する強盗が出没している。黄門は時枝一座を怪しいとにらみ、鬼面組が藤島屋へ押入った時、これを取りおさえようとしたが、悪奉行江原は怪盗にだまされ、却って黄門を召捕った。このため悪奉行は悪事がバレて大騒ぎとなり、お蝶の働きで鬼面組の一部は捕えたが、首領には逃げられた。黄門が金沢の城下につくと、ここにも鬼面組が出没し、城主綱紀の一人娘妙姫が拉し去られ、三日以内に武器弾薬と金十万両を白山の麓に届けなければ姫の命を奪うと脅迫状が来た。鬼面組とは徳川の覆滅を志す豊臣の残党だった。公儀の隠密筒井隼人は残党は黄門の命まで狙っている事を告げる。黄門は格さんを筒井に同道せしめたが相手に発見され、ついに筒井は殺され、格さんは大奮闘の末に脱出した。鬼面組の首領尾上時枝とは豊臣時姫であった。黄門はついに自ら山塞にのりこみ、天下の副将軍と交換に妙姫をかえしてくれと申出るが、時姫はお伴のお蝶と共に黄門をとらえ、三人を同時に火刑に処する事になる。柱に縛られた三人の下に今しも火がつけられた時、助さん格さんは猛牛に炎を背おわせて敵の中におどりこんだ。そして助さん格さんの奮闘に鬼面組はほろぼされ、黄門、妙姫、お蝶の三人は無事に救い出された。