貧乏画家高柳謙介は、弟省二と一緒に白石伸江の家に下宿していた。謙介は親友矢田邦彦の会社に勤めることになったが、その時邦彦の妹加奈子が彼に好意を見せ、彼女の担当している宣伝部に働くことになった。加奈子は謙介が、ファッション・モデルの伸江の家に下宿していることを知り、伸江に対し烈しい嫉妬と敵愾心を持った。伸江の家の近くに住む水沢ひとみは、謙介の弟省二に困っている時助けられ、彼に対し淡い思慕を抱く様になった。ひとみは病床の母から、死んだといった父は織物会社の社長矢田貞良だと聞かされた。ひとみは風間八重に連れられて矢田邸へ行ったが、貞良は不在で取りあってくれなかった。母の死後ひとみはファッション・モデルになった。省二は大学の入試に失敗し、不良仲間に入っていた。しかしひとみの清純な魂に動かされ、更生を誓うが、ひとみと邦彦が親しげなのを見て心がくずれかけた。省二がアルバイト先の金を失くした時、伸江はひとみが邦彦に借りていた真珠の首飾を盗み金にして省二に届けた。伸江はこのことを苦にして、自殺を計ったが助けられた。伸江の謙介に対する深い愛情を知った加奈子は、彼をあきらめた。貞良は始めひとみの父である事を否定したが、大阪でひとみと会うと、それを認めた。加奈子がデザイン研究にフランスへ行く日、飛行場にはひとみと省二の明るい顔が見られた。