学校を出たばかりの若い娘遠山洋子は、父源次郎が派出婦の安子を後妻に迎えようとするのに何か不潔なものを感じて反対していた。源次郎は洋子の態度を不安に思って、嫁入前の行儀見習に彼女を同僚の植松にあずけた。植松夫人のしつけは予想外にきびしく、或日、夫人の甥宮地と洋子が一緒に映画を見に行ったことをはげしく責められ、洋子は植松家をとび出して死んだ母の友人だった与田のおばさんのところへ行き、そこに下宿する野木に何かひかれるものを感じながら一旦家に帰った。その後洋子は友人幸子とその姉麗子の経営する銀座のバーで働いていたが源次郎が安子と結婚したので家を出て与田のおばさんのところへ行き、迎えにきた源次郎に突然、野木と結婚すると言いきった。これを聞いて野木も最初はおどろいたが、彼も洋子を愛しはじめていることに気づいた。源次郎は可愛い洋子をよい家に嫁がせたいと思い、歌舞伎座で東大出の青年と見合いさせることにしたが、席上洋子はこっそり逃げ出し、千葉に旅行する野木に同行した。慌てて後を追ってきた源次郎に、野木は洋子を貰いたいと申込んだが断られ、洋子と野木は許されぬまま与田家の二階に同棲生活をはじめた。二人を助けようとする暖かい手が方方から差しのべられたが、安子もまた暖かい愛情を洋子に示し、これにはさすがの洋子も感謝の涙を流した。源次郎はこうした妻安子の態度や洋子の同棲に、すべてに背かれたような淋しさを感じるのだったが、ある日にわか雨にあった時、居合わせた野木と洋子の差出す傘をすなおに受けとったことから親子の間には温い愛情がとりもどされてきた。