津軽の少女マルミは、祖父の公平と二人で山川リンゴ園を経営している。好きで上手な彼女の歌を公平はあまり喜ばないので、マルミはこっそり亡き母の墓前で歌ったりしていたが、そのとび抜けた天分を認める近所の大倉リンゴ園の娘、中学校の音楽教師純子は、かねてよりヒット・メロディ「リンゴ追分」で有名な作曲家野村哲郎にマルミを師事させようと計画していた。「リンゴ祭」の音楽会にのぞむため来縣した野村は純子の手引きでマルミの歌をきき、その才能に驚いたが、さらに彼女が山川リンゴ園の孫娘と聴くと、顔色を変えた。マルミの亡母千代は彼の青年時代の愛人であり、マルミは野村の子だったのである。薄命の娘を傷む公平は野村の詫びを頭から相手にせず、マルミにも父と会うことを禁じた。一方、縣会議員に落選した純子の父源吉は、公平抱込みを蹴られた腹癒せに、公平の納屋から品評会出品用の一等リンゴを盗み出させたため、彼の出品は敗れた。祖父の落胆を見て、マルミは歌を止めることを誓うが、心機一転した公平はマルミに父へ師事して歌を勉強するよう励ました。